大学において、学生との接点が最も多いのが学生部や学生支援の部署ではないでしょうか。学生生活支援は多岐にわたり、在学中、卒業後まで含めると非常に多くの管理業務が存在しています。既に就職支援のシステム等、何かしらのシステムを運用されている大学も多い分野でもあります。
就職や卒業後、学生団体の活動等、学外との関係性もでてくる場面が多いため非常にリスク管理が重要になるのもこの領域です。システムを活用することでそういった細かい要件に対応しつつ、事務作業量を減らすことが可能になります。単体システムとして、または一連のシステムの一機能として、例として以下のようなものがあげられます。
学生団体・活動管理
公認団体や任意団体の登録や各種活動申請を管理する機能です。団体活動を一元管理することで申請から承認までの事務作業の軽減とリスク管理が実現します。ゼミや研究会等にも対象範囲を広げることでさらなる効率化も可能です。よりリスク管理を強化する場合は、団体活動の申請に名簿の提出を義務付け、それを管理画面で検索できるようにすると便利です。また、団体に年度更新がある場合はその年度更新や、代表者の引き継ぎもシステム上で行えるようにし、年度をこえてもシステムデータが途切れないようにすることでシステムの一貫性を維持することができます。既存業務をどんどんと追加していけるようにしておけば、数多ある申請類を段階的にオンライン化していくことも可能です。団体の数が多い場合には、非常に高い効果が期待できます。
キャリア支援
学生一人一人の学生生活、就職への支援を行うことができる機能です。カルテベースで情報を蓄積したり、各種面談申し込みを行えるようにすることで、情報の一元化と調整業務の効率化が可能です。情報の一元化はすなわち個人情報の集積を意味しますので、アクセスできる職員の限定はもちろん、人事異動の際に担当していた学生データをどう扱うかの方針にあわせてデータ閲覧権限の引き継ぎも細かく設計することが可能です。必要に応じて二重の認証をもうけ、職員権限に応じて閲覧できる情報の範囲を定義することもできます。学生側からも情報が正確に更新されるよう、使い勝手の良さはもちろん、情報更新のリマインドメール送信などを自動化するのも良いと思います。統合された情報は様々な形式でレポート出力できるようにしておけば、大学の対外広報の際に役立つデータを簡単に準備できるようにもなるでしょう。
OB/OG訪問マッチング
就職活動におけるOB/OG訪問をマッチングする機能です。卒業生という資産を視覚化し、面談申し込みや訪問履歴を残すことで、力強い就職支援とリスク管理の両方を実現することができます。実際に会っての面談予約以外にも、WEB上でやりとりができるメッセージング機能を設けて、移動の負担をさげることもできます。また、ビデオ通話機能との統合など、よりオンライン上で完結する方向に設計することも可能です。社会人と学生の接点をつくることはトラブルのリスクもあるため、履歴をきちんと残し、マッチング自体を透明化することで、トラブル回避や問題発生時の原因究明のスピードアップが期待できます。コミュニケーション手段が多様化しているため、そうした外部ツールとの連携は慎重に検討してみてください。
卒業生ポータル
卒業生向けの情報掲示や各種手続きが行えるポータルサイトです。同窓会や行事、各種特典や寄付への誘導等、いくつもの機能を追加、統合していくことが可能です。散在しがちな情報を一つにまとめること、利用者にとっても非常に便利になります。さらに、情報を掲載するにとどまらず、イベントの申し込み受け付け機能を追加したり、記念グッズ等の販売機能を追加したりと、希望の要件にあわせて細かく設計することができます。また、同窓会の出欠・スケジュール調整機能を公式に提供することなども可能です。アルムナイコミュニティが盛り上がるような仕掛けを機能化するのもお勧めです。
奨学金、 助成金、補助申請
大学内で申請可能な奨学金や制度の手続きを行える機能です。申請履歴や各種添付資料をまとめて管理することで業務効率が改善します。紙での出力と共存させたり、学外の組織との連携を考慮して設計したりすることも可能です。受付期間の設定や、受付人数の設定、さらには一学生につき何回や、学生の属性に応じた申込み可否判定など、通常は事務担当者が目で行っていた作業をルール化し、システムに組み込むことができます。補助の制度は年度で変更になることもあるため、そういった変更に追随できるような設計にすることで、柔軟かつ継続的な運用が実現します。
また、助成金のように審査プロセスが存在するものについては、審査を担当する教員の情報を設定することで、システム上で内容の確認と審査を行うことも可能です。審査の内容がシステムに蓄積され、一次審査、二次審査と情報を蓄積しながら進行させることができるため、審査者にとっても応募者にとってもわかりやすい申請フローを構築することができます。過去の参照も容易になりますし、審査の精度アップにもつながります。
施設利用管理
大学内に存在する運動場や体育館、テニスコートなどの管理を行うシステムです。定期利用と都度利用の両方を登録できるようにすることで、どの団体がいつ使うのかを正確に管理することができるようになります。また、利用枠の抽選や申込み機能を追加することで、利用申し込みから日々の利用状況管理までを一括で管理することができます。体育館やホールなど、学内行事で使用する場合がある施設などの場合は、利用不可期間設定ができるようにするのも有効です。また、修繕・補修により使えない期間が発生する際の期間除外設定もあわせてできるようにすることで、イレギュラーな事態も含めて効率的に運用することができます。
車両入構管理
大学内に車両が自由に出入りすることができる大学の方が少ないと思います。通常は車両入構届のようなものを発行し、それの有効性を確認したうえで入構するのではないでしょうか。こうした入構証の申請から発行、確認までをオンライン化することで事務効率を高めることができます。申請時には車両に関する情報や日時などの必要な情報を取得し、適正と判断されたものが承認できるようにします。承認されたものは正門の係員が確認できるようにしておくことで、ペーパレスの運用にすることも可能です。昨今、スマートフォンが普及していますので、デジタル入構証のようなかたちで、掲示・確認できるフローにするのも有効でしょう。